神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『美潢界』第15回表展号(大正13年)を買ったら、よりによって国会図書館がその号だけ持ってた…


 これは、昨年だったか一昨年だったか京都国立近代美術館近くの食堂の外に出ていた和本500円均一台から入手。京都表具業組合(現京都表装協会)の機関誌『美潢界』の第15回表展号(美潢界社、大正13年12月)。和小物のワゴンの300円均一の札と見間違えたのと、戦前の雑誌だから国会図書館にまず無さそうというのと、京都発行の雑誌で江馬務「古代の織物に就て 表具史管見の七」が載っているので買ってみた。他の号も出ていたが、こういう時は見本として最も古い号だけを買うことにしている。
 ところが、支払いの時に実際は500円と判明するは、帰ってから調べると国会図書館がこの号だけ持っていて、何ともついていない。表展(掛け軸や屏風などの表装の展覧会)は現在も続いていて、第80回表展記念に刊行された『京都表装協会のあゆみ』(京都表装協会、平成7年11月)によれば、本誌は大正7年7月創刊で昭和15年の263号まで刊行された。毎月B5判8頁(新年号は増頁)の新聞形式で、12月号は表展特集号として主な出品作品の写真を掲載した100頁以上の冊子として刊行された*1。不思議なことに、京大附属図書館が創刊号から終刊号まで全263号所蔵している。
 『江馬務著作集別巻』(中央公論社、昭和57年6月)の「年譜」によれば、江馬は創刊した大正7年の表展号以降昭和14年の表展号まで毎年のように寄稿している。主に床の間の起源や紙の話である。大正5年9月20日から京都表具[業]組合において「表具史」を毎月講演ともあるので、その講演内容を基にしたのだろう。
 掲載された掛け軸のうち最初に載っている竹内栖鳳の物と奥付を挙げておく。編輯兼発行者の高崎誠之助は、前記『京都表装協会の歩み』によれば、「専任の事務員」とのことだが経歴は不詳である。

*1:国会図書館OPACに「表展」のタイトルで登録しているのは、不適切だろう。