大阪砲兵工廠について初めて知ったのは小松左京『日本アパッチ族』からだという人も多いだろう。私も角川文庫版の同書で知った口である。そんなオールドSFファンの私が、昨年6月大阪古書会館の古本市で「大阪砲兵工廠蔵書」印のある和本を見つけた。毛利貞斎『増続大広益玉篇大全』巻10(柳原喜兵衛ほか、嘉永7年)。表紙も無く状態が悪く、しかも辞書の端本なので普通なら絶対買わないのだが、蔵書印の魅力に負けて購入。掛け値なしの「蔵書印買い」である。江戸期の本はまず買わないので、架蔵の本では最古かもしれない。
大阪砲兵工廠は明治12年から大正12年まで使われた呼称なので、その間に押された蔵書印ということになる。庶務課(又は庶務掛)辺りが保管していたのだろうか。