神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

仏教児童博物館以前の明治40年に創立されていた京都府師範学校附属小学校児童博物館


 京都教育大学附属図書館で「先生を目指した女性たちーー京都府女子師範学校の歩みーー」が、来年1月10日まで開催中。無料で図録ももらえる。大学内の教育資料館は月曜日のみ開館なので、できれば月曜日に行って両方観た方がお得である。今回出かけたのは、「『博覧』(龍谷ミュージアム)第4章「平瀬貝類博物館」への補足ーー京都にあったもう一つの博物会、京都府師範学校博物会ーー - 神保町系オタオタ日記」で紹介した京都府師範学校博物会の会員名簿の中に多くの女性名があって、京都府女子師範学校の前身である京都府師範学校女子部の卒業生・在校生と思い、何か関連する展示がないかと思ったからである。結果的には、博物会関係の情報はなかった。しかし、京都の郷土教育運動の中心であった女子師範における研究の概要や昭和15年~17年に在校した生徒の日記原本など、非常に面白い史料を拝見できたので行ってよかった。皆様も是非のぞいてください。
 さて、参考文献に『京都教育大学教育学部附属桃山小学校八十周年記念誌』(京都教育大学附属桃山小学校、昭和63年)があって、そういう資料があることを初めて知った。そして、附属小学校関係の本を幾つか見ていたら、『京都教育大学教育学部附属京都小学校百周年記念誌』(京都教育大学教育学部附属小学校百周年記念事業委員会、昭和56年11月)に驚くべき記述があった。明治40年教科外における知識と趣味を習得させるため寄付金を父兄よりつのり、校内に児童博物館と児童図書館を開設したという*1。仏教児童博物館の創設は昭和3年なので、それよりも20年以上前に京都に児童博物館が存在していたことになる。明治40年といえば、『博物雑誌』(京都府師範学校博物会)が創刊された年でもある。ただし、同誌には児童博物館に関する記述はない。ネットで読める中島金太郎「戦前期の児童博物館思想」『國學院雑誌』116巻12号,平成27年12月にも京都の児童博物館への言及はない。京都府師範学校附属小学校児童博物館に関する先行研究は存在しないのかもしれない。誰か調べていただきものである。
 なお、龍谷ミュージアムの「博覧ーー近代京都の集め見せる力ーー初期京都博覧会・西本願寺蒐覧会・仏教児童博物館・平瀬貝類博物館」は明日(11月23日)までなので、まだ観ていない人は必ず観ておこう。

*1:追記:出典は、京都府師範学校編『京都府師範学校沿革史』(京都府師範学校昭和13年3月)233頁と思われる。