何年か前に、金沢大学名誉教授の国文学者川口久雄宛の書簡が出回った。「日本の古本屋」の記録を見ると、加藤楸邨、吉田精一、吉川幸次郎らからの葉書や江藤淳、神田喜一郎からの書簡が売り切れている。当時私も寸葉さんから東京教育大学文学部教授だった和歌森太郎からの年賀状(昭和39年)を入手している*1。印刷なので、安く200円。
文面は、前年の「三重県志摩地帯の民俗と歴史を探る旅」に言及し、「日本民族形成にあずかった海人族のことを更に考えたい」としている。これは、昭和38年に実施された「三重県志摩地方民俗総合調査」で、和歌森が団長、幹事長は竹田旦であった。報告書は、『志摩の民俗』(吉川弘文館、昭和40年3月)として刊行されている。
和歌森は昭和14年3月東京文理科大学史学科国史学専攻卒、川口は12年3月同大学史学科国語学国文学専攻卒。学生時代から親しかったのだろうか。