神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

「文博ろうじの古本まつり」で、新築地劇団東京後援会発行のパンフレット『綴方教室物語』(昭和13年)を発見

f:id:jyunku:20210513173652j:plain
 大笹吉雄日本新劇全史』第1巻(白水社、平成29年9月)によると、昭和13年は、新築地劇団にとって『綴方教室』の上演で明け暮れたと言っても過言ではないという。『綴方教室』は、豊田正子原作、古川良範脚本、岡倉士朗演出。3月6日~20日築地小劇場、4月27日~29日の新宿第一劇場に続き、6月12日・13日には劇団の東京後援会の主催により日比谷公会堂で上演された*1
 3月に京都文化博物館で開催された「文博ろうじの古本まつり」では、この新築地劇団東京後援会発行のパンフレット『綴方教室物語』(昭和13年6月)を入手した。500円位だったか。謄写版で26頁。
 上演の原作である大木顕一郎・清水幸治『綴方教室』(中央公論社昭和12年8月)及び後に豊田正子著・大木編『綴方教室 続』(同社、昭和14年1月)に収録される『婦人公論』掲載の綴方が明記されているので、あげておく。パンフレットには、上演された第1課から第8課までのあらすじが、時にこれら出典からの引用を含めて掲載されている。
f:id:jyunku:20210513173737j:plain
 本書の「あとがき」には、「この”綴方教室物語“パンフレツトも版に版を重ねましたが、今度の公演に際して又上梓しました」とある。おそらく何百部と刷ったと思われる。しかし、本書も含めて『綴方教室』に関するパンフレットが、国会図書館サーチでヒットしないのは仕方がないとしても、「日本の古本屋」でも見当たらないし、早稲田大学演劇博物館にも無いようだ。残らないものですね。
 なお、本書の印刷所である帝大プリント聯盟をグーグルブックスで検索すると、面白そうな事が書いてある。覚えておこう。
f:id:jyunku:20210513173802j:plain

*1:その後も、大阪、京都、静岡などで上演が続いた。