飯澤文夫「続PR紙誌探索(1)」が『日本古書通信』4月号に載っているというので、京阪書房で買ってきた。そう言えば、高橋輝次氏も『雑誌渉猟日録 関西ふるほん探検』(皓星社)によれば、定期購読せずに必要の都度京阪書房で買っているようだ。さて、飯澤氏の寄稿に明治大学中央図書館ギャラリーの企画展のリーフレットに『神保町が好きだ!』の飯澤編「出版社・書店等PR誌一覧」の改訂版を掲載したとあった。そんなものがあったとは知らなんだ。誰ぞのことだから行ってたらわしにもくれただろうから、誰ぞも行ってないのだろうなあ。更に飯澤氏はその後も探索を続け、戦前は50誌、戦後は169誌の計219誌を確認したという。
ところで、3月の大阪古書会館の古本市で、『美術タイムス』15号(芸艸堂、昭和5年1月)なる雑誌を発見した。矢野書房出品。編輯兼発行者は美術タイムス社編輯部。非売品で、10頁までは記事で、38頁分が美術図書目録である。内容の一部をあげると、
絵巻に就て 西澤笛畝
鉄線 金井紫雲
『浅井忠』刊行に就いて 石井柏亭
恩賜京都博物館に於ける浅井忠氏遺作展覧会
東京朝日新聞ナイフ欄に於ける『浅井忠』の批評
本邦の装幀 新村出
維新後の友禅染 村上文芽
新刊紹介
編輯後記
金井のは『花と藝術』からの抄録、新村のは津田青楓『装幀図案集』の序文。記載は無いが、石井のも石井編『浅井忠:画集及評伝』の序文。西澤や村上も芸艸堂から著書を出しているので、著書からの抄録かもしれない。内容の殆どが発行物の抄録だとすると、飯澤氏のいうPR誌の要件の1つである「書評、エッセイ、文芸作品などを掲載して読み物としての要素を備え」に該当するかは微妙だが、把握されておられるだろうか。