神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

ぐろりあ・そさえてのPR誌『文学通信』創刊号(昭和15年11月)

『神保町が好きだ!』12号(本の街・神保町を元気にする会、平成30年10月)特集「いま、出版社のPR誌はこんなにおもしろい!」を皆さんは入手されたでしょうか。私は2部入手して、1部はヨゾラ舎に進呈しました。もう少し入手しておけば、もっと関西の知り合いに配れたのですが、そこまで気が回りませんでした。目次は、

・<座談会>出版社のPR誌の歴史と現在
 ーー飯澤文夫・清田義昭・樽見博・八木壯一
・ーー各誌の担当者に聞くーー
 雑誌不況と言われる時代に 岩波書店「図書」編集長 清水御狩
 「書斎の窓」を知っていますか? 有斐閣営業部「書斎の窓」編集担当 栗原真由子
 おもしろいこと伝えたい!「青春と読書」今昔 集英社宣伝部「青春と読書」担当 平あすか
 ひとつでも心に留まる記事をーーPR誌「ちくま」の編集にあたって 筑摩書房「ちくま」編集長 山本充
 「本の窓」連載企画の狙い 小学館出版局チーフプロデューサー 岡靖司
 PR誌を超えてーー「ウェブ平凡」がめざすものは? 平凡社編集部「ウェブ平凡」担当 吉田真実<巻末資料>出版社・書店等PR誌一覧 飯澤文夫

特に最後のPR誌一覧が貴重で、173誌とWEBマガジン・メールマガジン18誌が載っている。「書評、エッセイ、文芸作品などを掲載して読み物としての要素を備え」ることも要件にしているので、単なる新刊情報のようなものは除外されている。ここにあがっていないものとして、たとえば「京都まちなか古本市で『ウスヰ書報』第3輯(ウスヰ書房)を発見」で紹介した『ウスヰ書報』(ウスヰ書房)をあげることができる。林哲夫氏ならもっと指摘できるであろう。
さて、先日文庫櫂で入手した『文学通信』創刊号(ぐろりあ・そさえて、昭和15年11月)も未記載であるので、紹介しておこう。内容は、

文学の「私」について 芳賀檀
覚書 浅野晃
「戸隠の絵本」 萩原朔太郎*1
「風物記」を読む 神保光太郎
「魚歌」の作者 森本忠 

のほか、読者通信、既刊・新刊・近刊書目などが載って、16頁の冊子である。萩原・神保・森本の一文はぐろりあ・そさえて発行本の書評だが、「後記」に「書評の上に附したマークは文殊龍膽で、棟方志功画伯の案」とある。なお、日本近代文学館が創刊号のほか、3号(昭和16年4月)と9号(17年7月)を所蔵している。
(参考)ぐろりあ・そさえての創立者伊藤長蔵については、「青年図書館員聯盟会員ぐろりあ・そさえての伊藤孝次」など参照

*1:萩原朔太郎全集』14巻(筑摩書房、昭和53年2月)収録