神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『北方人』27号(北方文学研究会)と室内を描いた装丁本

上記を盛氏より御恵投いただきました。いつもありがとうございます。目次は、

創作/御城前のおババ 通雅彦
創作/陀羅尼助丸の秘密 哀神シュナイダー
評論/釧路湿原文学史(8) 盛厚三
書評/北方人の本棚 [K]
書誌/装丁挿話(3) かわじもとたか
編集後記 [K]
表紙画・カット ジャック・カロ

釧路湿原文学史」は昭和40年代(下)。木山捷平の妻みさを、渡辺喜恵子渡辺淳一、佐々木栄松、瀬戸内晴美田中角栄原田康子井上光晴、南部樹未子らが登場。
「装丁挿話」は、『続装丁家で探す本』(来年1月刊行予定)に100話まで書いていて、本号はその続きの101話から107話までを掲載。亀倉雄策、佐藤泰治、萬鐵五郎、佐藤功、作家の装丁本など。室内を描いた装丁本を探していると前号に続いて今回も書いておられるが、それで思い出した。文庫櫂で入手した鳥居幸子『小さき家の装ひ』(萬里閣書房、昭和3年2月)がそれである。カバーの折り返しには、

著者鳥居幸子女史は、人類学の泰斗文学博士鳥居龍蔵氏の令嬢で、永らく仏蘭西に留学せられ、フランス現代の室内装飾及古代建築の美を研究せられたものを本書に蒐録せられたのである。(略)

とある。また、「凡例」には、
「一、中に挟んだ挿絵は、写真版の外は総て私がスケツチ致しましたものばかりでございます。装釘も、包み紙の意匠も皆自分で試みました。」とあり、カバー、口絵、挿絵にある室内の絵は幸子が書いたことがわかる。鳥居龍蔵の長女である幸子については、「鳥居龍蔵の孫娘鳥居玲子の母親、そして父親は?」で言及したことがある。まあ、本書の装丁として描かれた絵は、日本の室内ではなく、フランスの室内だが、かわじさん御参考までに。来年の御著書楽しみにしております。
新刊案内として、同人である池内規行氏の『回想の青山光二ーー資料で読む「最後の文士」の肖像ーー』(共和国、平成29年5月)が紹介されていた。善行堂に置いてあってもよさそうな本である。

回想の青山光二: 資料で読む「最後の文士」の肖像

回想の青山光二: 資料で読む「最後の文士」の肖像