神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

土田誠一『伊勢神道と尊皇思想』(大倉精神文化研究所、昭和10年5月)検閲官コメント付き内務省検閲原本

日本精神講習会叢書の第12輯で、昭和9年10年に大倉精神文化研究所が開催した日本精神講習会の講演筆録第二集の一冊である。『千代田図書館蔵「内務省委託本」関係資料集』を入手してから、検閲官のコメントが書かれた内務省警保局図書課による検閲原本(正本)が欲しいと思っていたが、早々に入手できた。先日の東京古書会館の古書展二日目でごちゃごちゃ紙物が入った箱の中で見つけた。表紙に、図書課長内藤、事務官久山の印のほか、關、尾形、内山の印が押されている。内務省印はなし。検閲官の意見は、

神トハ何ゾ、即チ神性ノ何ナルカヲ説キ
進ンデ神道ノ発生発展ヲ延ベ
神道ニ?進スルノ途ヲ教ヘテヰル。
完全ナル哲学デアツテ
了解困難デアル

コメント付き検閲正本を入手した喜びと既に初日に誰ぞが抜いた残り物であるという認識(誤解であった)でぬかったオタどん。この後見つける内務省印の押された雑誌の重要性に気付かず(雑誌はほとんど帝国図書館に交付されていないことは知ってはいたが)、はたまた、検閲官のコメントや決裁印は表紙よりも見返しに記されている方が圧倒的に多いことを失念していたのであった。オタどんのツイートにより翌日会館を急襲した書物蔵氏により目ぼしい内務省検閲原本の雑誌は押収、じゃなかった、購入されたのであった。まあ、納まるべき所に納まって良かったわけではある。