神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

関西における古書店のフリペ事情

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古書目録については、鈴木宏宗「古書販売目録の効用」『日本古書目録大年表』2巻(金沢文圃閣平成27年1月)にその特性と意義が適格にまとめられている。それによれば、古書目録には、読み物としての目録もあり、吉野作造らの序文が載った『一誠堂古書籍目録』(大正14年)や柳田国男序の『古書籍在庫目録 日本志篇』(昭和3年)が挙げられている。更には、大正期から昭和初期には古書目録発行の勢いが書誌的雑誌に進み、この例として杉田大学堂『書物礼讃』、玉樹香文房『典籍之研究』や荒木書店『古本屋』などが挙げられている。
かつて反町茂雄は一流の古書店の条件として古書目録の発行があると喝破した。一流を目指す古書店は勿論、いや一流の古書店なんか目指さないよという古書店も皆古書目録を発行する時代が確かにあった。しかし、ネット全盛時代となり、かなり減ってしまった感がある。そのような状況の中、特に若い店主や増加傾向にある女性店主の古書店による情報発信や常連客との交流の場として、古書目録としての要素がまったく又はほとんどないフリペの発行が増えてきたようだ。写真にあげたのは、関西におけるそんなフリペである。

京都
 萩書房『萩書房闊歩』・・・73号しか見たことがない。通常は在庫のカタログを掲載しているが、この号は市会で入手したマッチ箱コレクション(非売品)の紹介。
 カライモブックス『唐芋通信』・・・石牟礼道子や娘さん(みっちん)の話が多い印象
大阪
 本は人生のおやつです‼『本おや通信』・・・店主の知人や常連客を紹介。私も登場したことがある。「『本おや通信』27号(「本は人生のおやつです‼」発行)は「神保町のオタさんの巻」」参照
 古書からたち『からたち通信』・・・本来は常連客による寄稿が中心。穴埋め用の店主による日記が時にメインになったりする。字が小さいのが老眼に厳しいが、読むのが楽しい日記である。店売りを一時休業し、発行が10号で止まっているが、11号の準備中とのこと。編集担当の奥さんによる編集後記が肝という意見も多いようだ。
神戸
 トンカ書店『トンカ新聞』・・・特に同業者を取材した各店主の写真付きの「古本屋探訪」が貴重。移転して店名が花森書林に変わったので、このフリペはどうなっただろうか。

関西の古書店の極一部しか行ったことがなく、もっとフリペは存在すると思われるので、御存知の方は御教示いただきたい。
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