神保町系オタオタ日記

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京都書籍雑誌商組合立昭和図書館

これは先行研究がありそうだが、とりあえず情報提供。『京都書肆変遷史』(京都府書店商業組合、1994年11月)の「組合史年表(明治二十三年〜昭和二十年)」によると、

大正13年2月 定期総会に於いて、東宮殿下御成婚を記念として、記念図書館を建設することに決定。


  14年7月 記念図書館建設費募る。組合員より、八百弐拾弐口(十月二十現在)。


昭和2年10月18日 記念図書館建設委員会発足。


  3年4月27日 中京区御池通河原町東入ル買収地にて地鎮祭を行う(記念図書館)。


   11月3日 昭和図書館と命名して、竣工、同時に建設委員[会]解散、改め図書館理事五名、監事三名を選任した。さらに評議員三〇名推薦決定。


   11月4日 当組合事務所も古書組合と共に同館二階に移転した。


   4年5月23日 臨時総会にて、昭和図書館定款および同図書館役員の選挙。館長東枝吉兵衛、司書七里朝三。 


  11年3月23日 昭和図書館経営不振を理由に一時公開を休止する。


  20年3月22日 御池通り強制疏開のため、昭和図書館(新古組合事務所)立ち退き、事務所は一時永沢金港堂内に移し、建造物は洛北の岩倉村に委譲(現在岩倉農協使用)。蔵書および什器備品等は大都社跡(現在の書籍会館旧家屋)に移し漸次処分した(当時の府買上価格、一一〇三四円三二銭)。


初代館長の東枝は取次業の東枝書店の創業者で、前京都書籍雑誌商組合長*1。『京都昭和図書時報』54号(昭和3年)による*2と、建築費用は六万五千円。当初は、「東宮殿下御成婚を記念」する予定だったが、その後「昭和大礼記念」に変わったと見るべきか。さすがに、絵葉書は存在しないか(同書471頁に「昭和図書館」の看板を掲げた木造家屋の写真有り。キャプションに「御大典記念として総檜造りの勇姿」とある。)。

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坂の上の雲』関連書がどかどか。島田謹二アメリカにおける秋山真之(上)』(朝日文庫)が出てた。昔、わしも読んだような、途中で挫折したような・・・
アメリカにおける秋山真之 米国海軍の内懐に(上) (朝日文庫)

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とうとう酒井勝軍も小説になったか。藤木稟太古の血脈』(光文社)。
太古の血脈

*1:昭和9年3月没。「人と事業」『日本出版大観』出版タイムス社、1930年(『出版・書籍商人物情報大観−昭和初期』で復刻)によると、昭和5年7月20日館長を辞任。

*2:『京都書肆変遷史』142頁からの孫引き。同書には単に「時報」とあり、『京都昭和図書時報』は筆者の推定。