神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

 『絵葉書世界』の女記者と幸田露伴


日露戦争期の絵はがきブームについて、黒岩比佐子『編集者 国木田独歩の時代』に出てたので絵葉書ネタを。
幸田露伴の日記に、明治43年永井三星堂から創刊された月刊誌『絵葉書世界』の女記者が出てくる。

明治44年2月14日 薄暮石橋思案紹介にて井出百合といふ女子来る。絵葉書世界といふ雑誌の稿を求めに也。伝粉満面、強ひて矯声媚態をなす。談話に地声といふものすこしも無し。独り此の女のみならず、当世妙齢の女子の風気、甚しく曩日と異なり、おどろくべし。


    2月25日 夜に入りて井出百合子来る。米斎絵葉書をもたらし、賛を求む。よつて古句を録して責を塞ぐ。


    11月9日 井出百合子来る。たまゝゝ漆山書籍をもたらして来合せたれば、強ひて引止めて其の帰るまで居らしむ。夜も宵のほどならぬに人を訪ふなど、若き女の此頃の常習あやしむべきにもあらぬかは知らず、厭ふべし。こも佐藤流なるなからむや。今後は夜間の来訪無用なりと云ひわたす。


露伴は、数え45歳。前年4月には妻を亡くしている。夜分に妙齢の女性が来ると噂になるのを気にしたか。
「佐藤流」とはどういう意味だろう。
『絵葉書世界』の井出百合子って、多分無名の人だろうけれど、これでネット上に存在することになったから、今後何かの役に立つか?

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中央公論』2月号の「〈京大オーバードクター生一掃記〉二足のわらじを履きなさい」の加藤尚武東京大学特任教授)って、京大文学部倫理学の先生だった人みたい。