神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

灯火、書に親しむ東京図書館


湯島聖堂東京図書館があった時代の話。幸田成友は同図書館に通っていた。幸田の『凡人の半生』(共立書房、昭和23年4月)によると、

小学の上級の頃から東京図書館へ出入した。これは現在上野公園内にある帝国図書館の前身で、御茶の水の旧聖堂(大成殿)を文庫に充て、バラック式の仮閲覧室が設けられてあつた。(略)入館の際は受附に備付けてある帳面に氏名を記入して一葉の閲覧証書を貰ひ、退館の際はその閲覧証書を受附に返し、また風呂敷を携帯して居れば、それを開いて掛員の査閲を受けた。(略)夜になると一倍の寂しさを加へ、残つてゐる少数の閲覧人は閲覧室の一隅に集り、時折軽くゆらめく西洋蝋燭の炎の下に、読書三昧に入つたものである。

東京府書籍館」から「東京図書館」に改称されたのは明治13年7月で、18年6月に上野に移転。
幸田が東京師範学校附属小学校に入学したのは11年2月で、18年7月に卒業。
湯島聖堂にあった東京図書館時代の記録は、珍しいのではなかろうか。


追記:最近、はてなのキーワード「大島浩」経由でのアクセスが多いのは、夏休みのレポートか、大島についての新発見でもあったのか、ナンダロウ不可思議。