神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

スメラ学塾の機関紙「スメラ文庫」


内務省警保局編『昭和十六年中に於ける社会運動の状況』中の「国家(農本)主義運動」の第二「団体情勢」の三.私塾的団体(四)スメラ学塾には、

本塾は日本的世界原理なるスメラ学体系の普及徹底、日本世界維新の建設的戦士の養成、会員の指導養成を目的とし、昭和十五年五月十七日末次大将を塾頭とし小島威彦、奥村喜和男、石原廣一郎、大島浩白鳥敏夫、平出英夫、吉田三郎、丸山熊雄外十一名を研究部員として結成したるものなるが、自来塾生(概ね中卒以上の銀行会社員)を定期入塾せしめ小島威彦を主任講師として政治、文化、日本史、哲学等の講義を為す外時局問題を捉へて講演会を開催し或は機関紙「スメラ文庫」其他の印刷物を発行し専ら塾生の教育に努めつゝあり。
(略)事実上の主宰者たる小島威彦の各地講演会に於ける言動は往々にして不穏に亙り注意を要すべきものありたり。即本名は従来講習会其他に於て(一)軍及官当局をを故意に誹謗し、(二)政府の支那事変処理方針を歪曲し、(三)経済的に人心を動揺せしめ、(四)大政翼賛会産業報国会の正常なる発展を阻害し、(五)或は直接行動を示唆煽動するが如き不穏言動ありたるを以て警視庁に於ては客年十二月十六日本名を招致し厳重警告したるに不拘、其の後に於ても改悛の情なき模様にして今後の本名の動静に関しては相当注意を要すべきものあり。


機関紙「スメラ文庫」というのは、『右翼辞典』の「スメラ学塾」の項にも記載されていた(昨年9月14日参照)けれど、『スメラ民文庫』の誤記と思っていた。でも、どうやら本当に機関紙として存在していたようだね。これこそ、読んでみたい資料だ。


警告にもかかわらず、小島は「不穏」な言動を続けたようで、昭和17年5月、ダ・ヴィンチ展の開催準備中に検挙されている(昨年6月9日参照)。


追記:『新潮』9月号の四方田犬彦坪内祐三の対談は、まだ読んでいない。


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