神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

戦時下のトンデモ狩り


戦前のオカルトバスター小谷野敦、じゃなかった、トンデモバスター島田春雄
例によって、小島威彦、藤澤親雄に対して厳しく攻撃している。
『東亜文化圏』昭和18年7月号所収の「文化時評」(志村陸城、島田春雄、藤村又彦、窪田雅章による座談会)によると、

島田 (略)インカ帝国には斯いふ風習があつたとかスメリヤにも斯ういふ風習があつたとか昔栄えたとふミユー大陸も斯うだつたと並べる。同じことばかり並べてゐる。それよりも、どこに違ひがあるか、日本の国体とどう違ふかという点が大切だ。同似といふことは同一といふことではない。(略)昔どこかに太陽崇拝があつたからというて、日本で太陽を崇拝したといふことと、同似ではあるけれども同一ではない。それを無理に結び着けようといふ所に彼等の科学的非科学性ともいふべきものがある。それを単にさういふ論をするだけならばまだ宜かつたけれども、危いのは、それを国策に応用する所に在る。
(略)
島田 皇道政治研究所の設立趣意書といふのがある。方々に配つて賛意を求めた。それに出て来るのは昔人類は一家体制を立てた。然るに、天皇陛下が世界を御巡遊あそばされたのどうのとつとあつて、一旦崩壊して、これを救ひ直さうとしてゐるのが世界何とか戦争だと言ふ。我々は八紘一宇といふやうな神武天皇の御言葉をそのまゝ承つてゐる。ところが藤澤親雄氏に言はせると、「天業を恢弘し」と仰せられたのは、この昔あつた一家体制を恢復しよといふ御考であるのだと、そこに結び着ける。(略)我々が「すめらみこと」と崇拝し奉る御方を彼等のスメラ世界の王様にしてしまふ。そのスメラ世界といふのは、我々の考へてゐる、天皇政治ではなくて、昔のスメラ人の世界に還すといふことになる。そこで彼等が政治面に入つてやつた最初の仕事は日本世界文化復興会といふ会を作つた。
志村 去年の夏、上野で、アジア世界復興レオナルド・ダ・ヴインチ展覧会を主催した会ですね。
島田 さうです。
志村 小島威彦がやつてゐる。
島田 彼等の復活といふのはスメリヤ人の復活を意味する。その復活といふのは、西洋のユダヤ思想であり、基督教に出て来る。(略)藤澤親雄氏は昨年「文藝春秋」の五月号に「重慶政権に与ふる書」といふ公開状を出した。元をただせばお前の国と俺の国は親国と枝国の間柄だ。昔、日本の天子様が世界を巡遊なさつてどう斯うといふことが書いてある。これによつて向ふの人が感奮興起するかといふと、むしろ馬鹿野郎と言はれる。(略)その文献の根拠がどこに在るかといへば、今起訴されてゐる竹内文書が主だ。(略)


小島と藤澤は敵対関係にあったと理解していた時期もあったが、小島の自伝や島田が両者を同類扱いしているのを見ると、そうではなかったようだ。ただ、藤澤がスメラ学塾や日本世界文化復興会に関与していたという明確な証拠はない。


参考:5月16日29日