神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

馬場孤蝶の泊鴎会


近代文学研究叢書』第46巻中の「馬場孤蝶」によると、

この時期に泊翁[ママ]会が結成された。孤蝶を中心として文学について語り合う会で、昭和十五年に彼が亡くなるまでの二十年間続けられた。もともと田中貢太郎を中心とする石蕗会が母胎であったが、一時解散したのち孤蝶のもとに寄り集ってきた人々で自然に作られていった会であった。田中をはじめ、沖野岩三郎、佐々木指月、村松梢風、大庭柯公、森下岩太郎、安成貞雄生方敏郎、畑耕一、水木京太、野尻抱影などその常連をあげるだけでもきりがない。彼らは馬場を擁してたびたび地方講演にも出かけた。

森下岩太郎は、森下雨村の本名らしい。
『日本近代文学大事典』にも立項されていない「泊鴎会」について、具体的な開催日、参加者が判明したので紹介しておこう。


秋田雨雀日記』第1巻には

大正10年2月8日 ミカドで「白[ママ]鴎会」があった。大庭、(柯公)、菊池(寛)、大泉、村松、田中(貢)、長谷川如是閑エロシェンコ生方敏郎、長尾豊、佐々木指月、七尾、小島*1の諸君が来た。帰りにエロシェンコ君とカフエ・ロシアへ寄った。


長尾豊なんて名前がありますね。
また、『安成貞雄その人と仕事』(不二出版、2004年7月)中の「年譜」(芧原健編)によると、

大正10年3月3日 日本橋家庭食堂で泊鴎会の会合を開く。佐々木指月、村松梢風馬場孤蝶、大庭柯公、森下雨村荒畑寒村生方敏郎田中貢太郎らと共に出席。


大正11年11月24日 泊鴎会が福島民報社の後援によりて福島市で「文化講演会」を開催。馬場孤蝶、沖野岩三郎、生方敏郎松崎天民らと講演。


とある。
この他、泊鴎会のメンバーとしては、井伏鱒二水島爾保布、松本泰、平野嶺夫がいる。


追記:
よしたに『ぼく、オタリーマン』(中経出版)なるマンガを見る。わすの盟友は「セドリーマン」なんちて(笑


森まゆみ『『婦人公論』にみる昭和文芸史』(中公新書ラクレ)を見る。トップは「谷崎潤一郎と『細雪』」。参考文献として『中央公論社の八十年』を使用していた。昨年から『婦人公論』に連載されていたらしいが、知らなんだ。

*1:小島政二郎と思われる。