神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

沖野岩三郎「其夜の話」に登場する泊鴎会のメンバー

沖野岩三郎の「其夜の話」*1は、有楽町の塩瀬本店の2階にあったカフェーユニオンで開催された怪談研究の小集会の話である。この会を泊鴎会のことと推定して、イニシャルが出てくる人物を特定してみたい。

M・・・心霊学叢書の執筆者で小説家とあるので、大正11、12年新光社の心霊問題叢書から翻訳書を出している水野葉舟
N・・・Mから聞いた怪談を集会で披露している。水野と同じく心霊問題叢書から翻訳書を出し、泊鴎会のメンバーである野尻抱影。水野と野尻は、大正11年日本心霊現象研究会(J・S・P・R)を結成する仲でもある。
Y・・・フロイド研究者とあるので、泊鴎会のメンバーで、フロイドの研究をしたことがある安成貞雄
H・・・評論家とあるので、泊鴎会のメンバーである長谷川如是閑
B・・・老文学家とあるので、泊鴎会の中心人物である馬場孤蝶
S・・・18歳の時に中学の英語の先生から聞かされた話(MがNに話した怪談の原形)を、その後上京した時にMに話したという。学歴とイニシャルから泊鴎会のメンバーの佐々木味津三

最後のSは、自信がない。というのも、水野と佐々木に交流があったことの確認ができない。それにしても、こういう人物の同定やモデル探しは、萌えるなあ。

(参考)2007年3月25日

*1:『宿命論者のことば』福永書店、大正15年12月。近代デジタルライブラリーで見られる。