神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

堺利彦の「ユウモアの夕べ」

鈴木省三が、三省堂書店を辞め、創業期から小学館に勤めていた時代の話。鈴木は、堺利彦の『桜の国・地震の国』を含む『現代ユウモア全集』(小学館集英社内の現代ユウモア全集刊行会が発行)の担当だった。鈴木の『わが出版回顧録』(柏書房、1986年12月)によると、

私はそのころ、『現代ユウモア全集』の編集を担当していた。文芸書出版に実績のない小学館では、当時ユーモア作家として人気のあった故佐々木邦生方敏郎氏の編集で、両氏の意見にもとづいて全十二巻にまとめることにしたのである。(略)PRのため「ユーモアの夕べ」として講演会を開催した。講師は岡本一平佐々木邦生方敏郎堺利彦、高田義一郎などの諸氏で、この講演会は各地とも大入り満員の盛況だった。(略)堺利彦氏が壇上にたって、一言二言しゃべりだすと、臨検警察官が「注意」「中止」の連発で、ほとんど講演らしい講演はできなかった。

昭和3年6月18日付読売新聞夕刊によると、「ユウモアの夕べ 現代ユウモア全集発刊記念講演会」は、同日報知新聞社講堂で開催され、講師は、上記のほか、大辻司郎大泉黒石、田中比佐良。このほか、堺の年譜によると、同月末、「現代ユーモア全集の為に関西地方の講演旅行に出づ」とある。

(参考)今月4日