神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その24)


12 トンデモ・バスター島田春雄がシュメールを斬る!(承前)



「全然違ふ」、白を切る藤澤だが、既に見たように、小島編集の「ナチス叢書」への執筆や、『新若人』への執筆や小島との対談など、小島のグループとは密接な関係があった。
また、この偽史論争の後、発禁に追い込まれる『神国日本の使命』(昭和18年2月)には、

凡そ欧米文化の根基となつた古代バビロニアの文化を建設したスメル人なるものは、スメラミクニから、彼の地に移住せる神孫民族の一派であつた。


とか、

然るに、我が国の由緒ある神主の家に、重大なる古代の文献が伝はつて来た。それによるとスメル人なるものは、朝鮮に赴きそれから支那に渡る、更に小アジア方面に繁殖して行つた素盞鳴尊の子孫であるといふ事が記録されてゐる。
また、バビロニアに於て、スメル人が使用してゐたクサビ文字、及絵画の如き象形文字の完全なるものが「神代文字」の名のもとに我が国に伝はつてゐるのである。

とし、最後には、


之を要するに「契丹古伝」とチヤーチワード大佐の「ミユ大陸」と「聖書」と更に我が国の「太古史諸文献」とを綜合して研究する事に依り、我が「日本」が全人類の大祖国である、と云ふ事が次第に結論されることと信ずる。


とまで言っている(ちなみに、「太古史諸文献」として、九鬼子爵家、春日家、竹内家、物部家に伝わる文献を挙げている)。


藤澤と小島の相違点といえば、藤澤が日本人→シュメール人であり、小島が日本人←シュメール人であるということであろう。この逆向きの矢印の違いは大きいと言えば大きいが、私にはどっちもどっちと思うのだが。