この島田翰が如何に日本人離れのした凄いビブリオマニアであった
かは内田魯庵氏が読売新聞に連載せられた『蠹魚の自伝』に詳しか
った。その中にはまるで西洋の探偵小説のような面白い話もあった。
そして彼が又永井荷風氏の青年時代の親友であった事は、例の『麻布
雑記』の中に出ているから人の普く知る所となっているであろう。
(中略)
併し此の偉才、島田翰をモデルにした小説のある事は、世が余りに
多く知るまい。加藤一夫氏の『無明』がそれである。今、手許に
その書がないから、何と言う名前になっていたか忘れたが、あの
自叙伝的小説に於て主人公と恋人を争うのが島田翰である。
*この加藤氏の小説って、読んでみたいだすね。