神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

肥田晧三が語る玉樹香文房の玉樹安造(号芦城)


 @wogakuzuさんがTwitterで大阪天下茶屋にあった古書店玉樹香文堂(本来は玉樹香文房だが、時に玉樹香文堂)の年賀状(大正6年)を挙げていたので、店主玉樹安造(号芦城)に関する下書きがあるのを思い出した。もう少し調べてからアップするつもりで下書きにしておいたのであろう。しかし、忘れないうちに公開しておこう。

 肥田晧三「大阪で出来た異色の本ーー大阪出版一夕話ーー」『大阪府立図書館紀要』10号(大阪府立図書館、昭和49年3月)には、玉樹香文房の玉樹安造に関する一節がある。

 香文房玉樹安造氏(芦城と号す)は、船場博労町の旧家の冨田屋の若旦那で、その家は桜のおしろい屋とて古くから著名な白粉商であった。大正十一年家業を廃して古典籍業に転じ、香文房を開業された。以後昭和二十二年に歿するまで大阪和本業界の別格的存在として終始した。もともと学芸に造詣があり、自分の趣味からこの道を選ばれたものゆえ、古書の鑑識にすぐれ、冨永仲基の「翁の文」を発掘したものも玉樹氏であった。玉樹氏にとって出版はあくまで余業であったが、大正十四年から昭和二年にかけて発行して[ママ]雑誌「典籍之研究」全六冊は、大阪出版史の上で逸することの出来ぬ重要なものになっている。(略)

 『典籍之研究』全6冊は持っているが、出てこない。ただ、揃いを入手する前に神戸古書倶楽部のとてちき堂で買った3号(典籍之研究社、大正14年11月)があるので、表紙と奥付を挙げておく。ゆまに書房から復刻版が出ているので、詳しく見たい方は図書館へ。

 古書目録である『古書時報』(大正11年12月創刊)*1の2号(大正12年1月)~6号(同年9月)も昨年唯書房から入手しているが、これまた見当たらない。トホホ(´・_・`)
 と思ったら、幸い見つかったので併せて表紙と裏表紙を挙げておきます。

*1:近代書誌懇話会編・鈴木宏宗解説『日本古書目録大年表:千代田区千代田図書館所蔵古書販売目録コレクション』(金沢文圃閣平成27年1月)には、昭和15年12月発行の同誌(1枚刷)まで記載がある。また、大阪府古書籍商業協同組合青年部翔の会編『大阪個人古書目録年表:自明治二十三年至昭和五十年 附大阪古書組合略年表』(大阪府古書籍商業協同組合、昭和58年7月)には、昭和17年7月発行の同誌(2頁)まで記載がある。