山口瑞穂先生の『近現代日本とエホバの証人:その歴史的展開』(法藏館、令和4年2月)103頁の註に小林昌樹編・解説『雑誌新聞発行部数事典ーー昭和戦前期 附.発禁本部数総覧』(金沢文圃閣、平成23年12月。以下『事典』という。)*1が出てきた。
(27) 発禁処分となった雑誌の内訳は、それぞれ一九三七年二月三日に『黄金時代』一〇九号(二月一日発行)が三万九〇〇〇部、同年二月二三日に同誌一一〇号(三月一日発行)が三万部である[小林編 二〇一一:三七頁]。(略)
『黄金時代』は、明石順三が主宰した灯台社の機関誌である。『事典』は、吉永さんに引っ張り出された平成31:年1月の古本バトルで紹介したところである。古本ではない『事典』をいきなり出す訳にはいかないので、家蔵の『出版警察報』を前置きにしたと思う。『事典』が『出版警察報』に掲載された「差押成績表」から発行部数を抽出したものだからだ。3回ぐらい参加した古本バトルでは随分トンチンカンな発言をしたと思うが、多少は役に立ったようである。古本バトルを聴いた宗教関係の研究者に『事典』を活用していただくようになった。山口先生もその一人である。
本書の「あとがき」には、吉永さんへの次のような謝辞がある。
本書における灯台社の時代に関する資料の一部は、吉永進一先生ご所有のものをご厚意で貸与していただいたものである。宗教雑誌全般に関する先生の造詣の深さ、そして古書資料の読み方や味わい方という点でも多くのことを学ばせていただいている。(略)
吉永さんが研究者として傑出していたのは、人から見ればクズのような雑本を学生時代から熱心に蒐集していたことである。これが、ときに「宗教雑学王」(by碧海寿広先生)とも称される博識に繋がった。
*1:令和2年10月に増補改訂普及版が刊行されている。