神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

野中太気彦編『南条郷土研究』第7巻(昭和8年)に狐憑きの話

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 四天王寺秋の大古本まつりの初日、100円均一コーナーで見つけた野中太気彦編『南条郷土研究』第7巻(南条郷土研究会、昭和8年4月)。状態も悪く、郷土研究誌の端本を買っていたらきりが無いが、南条の口碑伝説として狐の話が載っていたので買ってみた。南条郷土研究会は、長野県埴科郡南条村(現坂城町)に所在した。目次を挙げておく。
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 「狐の話」は、
十八 狐にばかされた話
十九 狐に食物をとられた話
二十 狐ががよびに来る話
二十一 狐に魅されたと思ふ話
二十二 狐にとつかれた話
二十三 狐をだました話
二十四 狐を神に祀つた話
二十五 狐火の話
二十六 狐の宝珠
狐の話に就て
からなる。「狐の話に就て」によれば、「此の狐の話は研究会座談・小学校生徒の蒐集・及び自分の在村当時に聞いた話の大要を集録したものである」という。
 本誌は、『日本民俗学大系』第11巻(平凡社、昭和33年10月)によれば、昭和5年埴科郡南条小学校の職員により郷土研究会が創設され、同校の職員である野中が中心となり、昭和6年までに6冊ほど発行された。純粋に民俗学的なものとは言えないが、一校でやったことと、村人も相当多く入って村のあらゆる方面を細かに調べようとしたところに意義があるという。確かに本巻の目次を見ただけでも、研究対象の範囲の広さがうかがえる。県立長野図書館が第1巻,昭和5年6月から第8巻,昭和9年5月まで所蔵している。
 せっかくなので、狐憑きを祓おうとして娘を死なしてしまった話をアップしておこう。近年でもこのような事件が起きて、ニュースになる時があるね。
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