神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

昭和16年6月折口信夫が見送った樋口清之國學院大學講師

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神戸の古書店つのぶえはキリスト教書の専門店だが、専門外の本が格安で出るので時々のぞいている。『会報』昭和16年第5号(國學院大學院友会、昭和16年6月)、16頁・非売品もそんな1冊である。國學院大學院友会は國學院大學の卒業生の親睦団体で現在も一般財団法人として存在している。編輯兼発行人は財団法人國學院大學院友会代表者宮崎直治。
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目次も写真であげておくが、樋口清之の応召壮行会が載っているので購入、300円。引用しておこう。

前理事樋口清之
 応召壮行会
 本会前理事母校講師樋口清之君は、今回召集令に接し勇躍入隊せられることになり、去る六月四日午後四時氷川会主催の壮行会が母校講堂附属食堂で開かれた。学長はじめ会するもの約百名、学長の樋口君を送る挨拶の辞に続いて樋口君起ち、烈々たる気魄を全身に漲らせ、応召の覚悟を吐露し、次いで一同万歳三唱。更に鳥野院友会長、氷川会幹事田中義能博士の挨拶あり、折口信夫博士の和歌、加藤玄智博士の漢詩を、高崎正風氏の辞と共に和歌を披露せられ、中野淳公氏も和歌の朗詠、葦津庶務課長軍歌、八木要氏同じく軍歌、ブラスバンドの君ヶ代、校歌演奏を以て賑かな壮行会を閉ぢた。
(略)

折口信夫教授が和歌で樋口清之講師を見送ったようだ。折口信夫全集(中央公論社)の年譜ではこの年折口は、池田弥三郎や藤井春洋の応召を見送っているが、樋口についての記載はない。本誌は國學院大學図書館も含めて、どこの図書館にもないようだ。あるとすれば、國學院大學院友会自身だろうか。バックナンバーに当たれれば、もっと折口の動向が分かるかもしれない。