一時期戦前の古書目録を何でもかんでも買っていたが、今は関西のそれもあまり著名でない店の物に絞っている。先日東京古書会館で購入したのは、京都市左京区丸太町川端東入(天理教前)にあった鴨東書房の『鴨東書目』第1号(昭和9年6月)である。金沢書店出品で300円。『京都書肆変遷史』の「書店小史索引(屋号・人名)」に見当たらないので短期間で閉店したのだろう。ただし、架蔵の『古本年鑑』第3年版(古典社、昭和10年11月)の「全国古本商名簿」には掲載されている。
目録は11頁、317点*1収録されている。最も高額なのは1番目に挙がっている川瀬一馬編『高木文庫古活字版目録』(昭和8年)17円である。柳田國男『遠野物語』(明治43年)が6円50銭。『古本年鑑』第2年版(古典社、昭和9年10月)の「続最新古本時価表」に『遠野物語』は6円とあるので相場よりやや高目に値付けしているか。(←書物蔵氏に御教示されましたが、同時価表は「東京大阪の古本市場の標準相場表」でした)もっとも、『鴎外全集』18冊(大正14年)14円や時事新報社編『福澤全集』10冊(大正15年)の9円50銭に負けているので、全集が投げ売りされている昨今と比べて全集優位時代がうかがえる。本目録のように『日本古書目録大年表』(金沢文圃閣)に記載のない地方の古書目録は今度とも拾っていきたい。
*1:ただし、313番「雑誌特集号」として各種雑誌の特集号61冊を1点としているものもある。