神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『二級河川』19号のトム・リバーフィールド「戦前の東京堂版『出版年鑑』に掲載された訃報一覧」

二級河川』19号(金腐川宴游会)を御恵投いただきました。ありがとうございます。前号に続きゲーム特集で、そちらは関心がないが、リバーフィールド氏の労作「戦前の東京堂版『出版年鑑』に掲載された訃報一覧」を拝読。東京堂から発行*1された『出版年鑑』昭和5年版から18年版までの訃報欄に掲載された886人*2について、出版、新聞、読書、学界、教育、芸術、宗教、政官財、外国の9分野に分類し、名前、ヨミ、肩書、没年月日、年鑑掲載年度、『昭和物故人名録』(日外アソシエーツ)収録の有無、備考を一覧にしたもの。『昭和物故人名録』に収録されていない270人の没年月日が、出版関係者、図書館関係者、青空文庫関係者などにとっては、特に貴重な情報ということになる。いつものことながら、リバーフィールド氏の熱心な取り組みには感心します。
気付いたことを二つ指摘しておこう。
・106頁小林俊三(陸軍軍医少将・医博、昭和17年4月24日没)について「陸軍軍医の将官相当者に該当が無く誤記の可能性あり」としているが、『日本陸軍将官辞典』(芙蓉書房出版、平成13年2月)によると、小林俊三(軍医部)は昭和17年4月24日戦病死、同日陸軍少将に昇任している。
・108頁平田元吉の読みを推定ヨミとして「ひらたげんきち」としているが、「ひらたもときち」が正しいと思われる。『志賀直哉全集』16巻(岩波書店、平成13年2月)の「日記人名注・索引」や「Web NDL Authorities」では「ひらたもときち」としている。『近代心霊学』などの著作や志賀直哉の英語の家庭教師として知られる三高教授である。
戦後発行の『日本出版年鑑』や『出版年鑑』掲載の訃報一覧については、後日公開予定ということなので、そちらも刮目して待ちましょう。あと、戦前の『図書館雑誌』に会員の入会年月と紹介者が挙がっていたと思うけど、あれを会員の五十音順に一覧にしたら面白い気がするがどうだろう。

*1:ただし、昭和17年発行分は『書籍年鑑』として協同出版社から、18年発行分は『日本出版年鑑』として同社から発行

*2:青野友三郎が16年版と17年版に重複記載されているので、実質的には885人