神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

明治・大正カトリック著述家筆名考

どこで拾ったか、『望樓』4巻3号*1(ソフィア書院、昭和24年3月)という雑誌がある。増田良二「明治・大正カトリック著述家筆名考」が載っているので購入したもの。同論考は、『公教雑誌』『天主の番兵』『通俗宗教談』『聲』『カトリック』等の諸雑誌から取捨した約340人の筆名について、本名や筆名の由来などを記載した一覧である。『聲』以前の雑誌は概してパリ外国宣教会士の筆になるものが多く、殆ど筆名は用いられていないし、『カトリック』は仰々しい筆名などが流行しなくなった大正期創刊で筆名は非常に少ないので、主として明治・大正期の『聲』に現れたものが大部分という。また、明治・大正・昭和三代にわたり同誌の編集者だった山口鹿三・藤井伯民両氏によると、筆名は殆ど全部が主筆工藤應之氏の命名で、両氏自らのものですらあまり記憶してないとの回答だったので、工藤氏在世中に照会し、大部分は解決し、その回答を基本に一覧を作成、多少増田自身の意見を加えたという。それでも、未詳とされるものも多く、40人以上が未詳とされている。「司書官山田珠樹」で言及した立花國三郎も単に「未詳」とあるだけである。カトリック系雑誌を読む機会がないので、他に私が知った名前もほとんどなく、兒玉花外、波留子・ふさ・ゆかり(木内錠子)ぐらいであった。この一覧は昭和24年段階の調査であるが、その後研究は進んでいるであろうか。

*1:編集後記によると、前号は辻野久憲特集で、殊に若い人達の間に予想以上の歓迎を受けたという。