神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『現代女流人物事典』(愛隆堂、昭和27年)から見た大橋鎮子

いつの古本市で拾ったか忘れてしまったが、『成功』特別増刊号『現代女流人物事典』(愛隆堂、昭和27年10月)を持っている。奥付の前の頁に「山根キク」が載っているので、おっと思って買ったのだろう。もっとも、皓星社の『日本人物情報大系』8巻として復刻されているようだ。ちなみに、山根の項は、

山根キク(やまね・きく) 明治二六年生れ、横浜共立女子神学校卒(略)
神道家で、その伝道につとめているがその手段として新聞記者になつたこともあり、自ら雑誌を発行したこともある。戦後新宿区会議員に当選したが、現在は著述に専心、かたわら婦人生活研究会々長の任にある。

「著述に専心」というのは、キリストの墓のこととか書いていたのかなあ。『キリストは日本で死んでいる』の刊行は、昭和33年である。
事典の内容だが、今堀文一郎「本書の発刊に当つてーー編集委員を代表してーー」によると、企画委員がまず3000人の女性をマークし、数回の選衡委員会にかけて1200人を抽出し、質問書を送り回答を求めた。そして、その回答を基礎に、編集委員が専攻部門を担当し、正常な世論と独自の批判を加味して執筆したという。ざっと1200人の索引を見てもほとんど知らない人ばかりだが、知っている人のうち大橋鎮子だけ紹介しておこう。

大橋鎮子(おおはし・しずこ) 大正一一年東京生れ、日本女子大中退(略)
女子大学を中退して読売新聞の婦人記者となつたが、戦後おしやれの復活に眼をつけて、衣裳研究所を創立して経営、宇野千代女史の「スタイル」に対抗して「美しい暮しの手帳[ママ]」なる型破りの雑誌を発行、はじめは贅沢雑誌などといわれたが、その特異な個性が一般にも認められて好評を呼んでいる。まず婦人事業界での辣腕家の一人。

昭和23年9月に創刊した『美しい暮しの手帖』(28年『暮しの手帖』に改題)は、当初は「贅沢雑誌」と言われていましたか。ところで、事典には姉妹篇として『古今女流人物事典』を近日発刊とある。所蔵する図書館はないようだが、刊行されたのであろうか。