神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

古本初買いは赤尾照文堂で『越後新津桂家万巻楼所蔵古書籍展観売立目録』(昭和5年12月)

ブックオフの20%オフに2軒行ったが拾えず、赤尾照文堂に寄ったら開いてた。上記を500円で。「古本売買 京都市丸太町通烏丸半丁西入 山本楽天堂」と「石□*1」の印。「山本楽天堂」とは知らない古書店だったので、買ってみた。43頁の冊子で、昭和5年12月に大阪市西区の書林倶楽部で開催された古書籍展観の目録。会主は、東京の一誠堂書店と大阪の松葉書店、鹿田松雲堂で、補助として大阪の古典会が付いている。式場麻青「桂氏「万巻楼」について」によると、

桂氏は六百年来、蒲原平野の中央新津町の郷士として居住し、世々同地方文化の中心者であつたが、特に江戸期の爛熟時代化政度には女流歌人時子を出し、家長としては誉重を出した。(略)当時の桂家は儒学には朱子学に護園堀河二学を併せ学び国学は古典歌文を修めた上篤胤に従遊し、且つ医薬産業の学にも力を用ゐて、遂に書庫「万巻楼」「新万巻楼」の建設をした。(略)「万巻楼」の蔵書は真に多趣多様で経史詩文より本草医薬の雑著、奈良平安の古典研究より俳書小説図絵の雑書に及び、元禄宝永の板本などに殆んど刷り卸しの如き清新さを見せてゐる。

本書には12月5日展観下見、6・7日入札とあるが、反町茂雄『一古書肆の思い出』第一巻では「入札は五・六両日にわたり」とある。また、同書には「数量は厖大で、鉄道の貨車二つを専用しましたが、内容は百科にわたった教養文庫的な性格のもの、古いものや珍稀のものは極く少ない」とあった。

*1:追記:twitterに書影をあげたら、「石附」ではないかとの御教示を得た。新潟に多い姓らしい。