神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

合同古書目録『書燈』1号(書燈会事務所、昭和8年1月)

京都の丸太町通河原町通周辺の古書店が「書燈会」を結成して発行した48頁の合同古書目録。発行所の書燈会事務所は、京都市丸太町通川端東に所在。同会の参加店は、

成文堂 長谷川庄一
旭堂 細井弥五郎
京屋 加藤元三
春正堂 竹岡利一
国井書店 国井為次郎
マキムラ書店 牧村博
創造社 藤原富長
一信堂 安藤信太郎
キクヤ書房 斎藤菊次郎
阪倉書店 阪倉庄三郎
元文堂 木村頼之助
丸三書店 木村五郎
進文堂 木村俊一
叢文堂 島田周治

脇村義太郎『東西書肆街考』(岩波新書)には、

不況対策といえば、昭和八年一月に丸太町の有力な古本屋十一軒と、百万遍通り(今出川通り)の本屋一軒、河原町一軒、出町一軒、合計十四軒が「書燈会」を組織し、共同で古書目録を出し始め、隔月に出して八号ほど続いた。

とある。参加店には、現在も開店しているマキムラ書店や創造社の名がある。編輯兼発行者は、成文堂の長谷川になっている。『日本古書目録大年表』によれば、2号、8年3月は、「京都書燈会」の発行で、発行者は藤田徳松となっている。以後順調に発行され、15号、13年1月まで確認できる。本号の巻頭には、末川博「『書燈』の発刊に当つて」が寄稿されていて、個々の店が生活必需品である書物をバラバラの値段で販売していては安心して買うことができないので、十数軒の古書肆が連合して目録を作成することは、極めて好都合であると述べている。そういう意見があるとは、驚いた。もっとも、後の昭和15年古書籍にも公定価格が設定されることになる。なお、脇村はマキムラ書店の牧村が三高・東大の出身だが、京大にも籍をおいたことがあり、その関係で末川が寄稿したのであろうと推測している。
ちなみに、本目録では、今沢慈海・竹貫直人『児童図書館の研究』(大正7年)が70銭で出ている。