神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

初期社会主義者と東條書店の番頭池田清太郎

鹿島茂氏の『ちくま』での連載「神田神保町書肆街考」の第20回は、東條書店の話。今和次郎が、東條書店のバラック建築を引き受けた*1経緯が長らく不明だったが、きだみのる『人生逃亡者の記録』を読んで、ヒントらしきものが見つかったという。そして、

きだの貴重な証言からわかることは、東条書店の番頭の清どんこと池田清太郎は幸徳秋水や大石誠之助など社会主義思想を奉じるグループの周辺にいたシンパであり、この線を延長してゆくと大石誠之助の甥である西村伊作文化学院関係者とつながるという事実である。あるいはその縁で『白樺』同人たちの古書を引き受けた*2のかもしれない。
いずれにしても、西村伊作文化学院関係者だったら、そこに今和次郎バラック装飾社が浮上しないはずはないのである。

きだの書に幸徳と東條書店の関係が書かれていることについては、既に私が「神保町の東條書店と幸徳秋水」で言及しているが、鹿島氏は独自に発見したようだ。それはともかく、初期社会主義研究者でこの池田という人物に心当たりのある人はいないだろうか。