満川亀太郎日記にみる売文社の分裂

満川亀太郎日記に、売文社分裂前後の高畠素之、北原龍雄の名前が出てくる。

大正8年3月4日　午後出社、夕刻より清風亭に第七回老壮会を開く。（略）北原龍雄君来会。売文社にて議論分れ、高畠君及同君等は国家社会主義を新に標榜し来らんとのことなり。

　　　 3月15日　売文社高畠素之、北原龍雄君等より来信。堺氏と分離し、四月一日より「国会社会主義」を創刊せんとすと。仍て祝辞を送る。

余談だが、田代順一も出てくる。巻末の「主要登場人物録」には、「（生没年不詳）科学雑誌社勤務、福岡県人社勤務？」とある。原理日本社の田代であれば、没年は昭和5年である（今月5日参照）。←同一人物と確認。享年45なので、生年は明治19年。酒屋の経営に失敗した後、教育界に入り、船橋中学、正則中学に勤めたという。

大正10年4月4日　田代順一君より来信、去月廿日限「中外新論」をやめて酒屋を開業したとの事。

昭和4年5月17日　中野町科学雑誌社に田代氏を訪ふ

満川亀太郎日記―大正八年‐昭和十一年