神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

社会主義者と忘れられた美女と大空詩人

同時代に生きていれば、どんな人物同士が面識があってもおかしくはない。社会主義者堺利彦、忘れられた美女及川道子、神保町の喫茶店田沢画房の「卒業生」*1で詩人の永井叔も例外ではない。前二者については既に今月1日に述べたが、この三名が一堂に会した時がある。永井の『大空詩人 自叙伝・青年篇』(同成社、1970年6月)によると、

堺利彦とは、深くはなかったが交遊した。全く好いおやじであった。
同氏の“農民学校の夕”を援けて飛行会館へ出演したのは(昭和六年)十(ママ)月二十五日であったが、その夜の顔ぶれは、バラエティに富み、いかにも堺氏のあの大空的な心の内容を表現しているようであった。これらの人々やプログラムの総和美が、その「堺おやじ」の全貌であったとも云える。
その顔ぶれとは、葉山嘉樹徳川夢声馬場孤蝶、麻生久、長谷川如是閑森田草平上山草人、田原春次、浅原健三、及川道子、堺真柄、高田義一郎諸氏と叔。
(略)
堺氏の演説はもとより、半数の方々の弁論は中止を喰ったが、私の演奏“群列行進曲”は無事通過した。

(参考)小正路淑泰「葉山嘉樹と〈地方〉−労農教育運動をめぐって−」(http://www12.ocn.ne.jp/~sayaka/turuta_hayama_sakai/hayamayosikitoyihou.html

*1:今月22日参照。