神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

 独歩周辺の人々の日々


黒岩比佐子『編集者 国木田独歩の時代』に出てくる独歩周辺の人物のうち、例えば窪田空穂、吉江孤雁、前田晁などは既にこのブログでも登場していたみたいだが、私にとっては単なる記号でしかなかった。しかし、同書を読んだ後では、少し身近な人間として感じることができるようになった。そのため、『新聞人坂口二郎 明治編』の次のような記述を読むと、最初に読んだ時と異なるインパクトがある。

明治38年3月25日 四時半に社を立ち退いて、東京電車に乗って上野広小路まで行き、兼ねて約束の窪田うつぼ君を訪ねた。吉江[喬松、仏文学者]といふ通治君の友人が来合はし、水野[葉舟、歌人、小説家]といふ人もやって来ている処に、足立恭三君が後れてやって来て、談は例によって湧くが如しであった。


    8月3日 前田晁君[早稲田の同期]から、はがきに「僕本日より浪人となれり」と書いた端書が来た。今まで隆文館に居たのであったが都合あって退社したのであらう。


  39年7月2日 休日を幸ひ足立君を訪ねる。(略)それから窪田[空穂]君を訪ねようといふことになり、弁天町へ行くと引越してゐない。さて引越し先はと、やうゝゝ榎町に訪ねあてると留守。同宿の吉江[喬松]といふ人と暫し話をして帰途、神楽坂までやって来ると窪田君の帰るに会うて、再び引きかへし、三人連れ牛込亭に入る。


注 [ ]内は原著の編者

坂口二郎、窪田空穂(通治)、足立恭三は明治37年早稲田大学国語漢文及英文学科卒、前田晁は同年哲学及英文学科卒。
この坂口の日記には独歩は出てこないが、明治38年1月坂口が読売新聞社(日就社)へ入る際に、坂口を紹介した人が時々出てくる。すなわち、黒岩さんの次作のテーマとなる主役である。

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週刊読書人』1月18日号に『日本売春史』の書評(斎藤光京都精華大学教授)あり。若干の苦言あるも好評価。猫猫先生もお喜びか。