神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

スメラ学塾と日の御子文化


堀一郎の「「日の御子」の伝説」が掲載された『新若人』の前号に当たる昭和17年3月号に小島威彦も執筆している*1

このアメリカが侵略せる太平洋は嘗てマヤ文化やインカ帝国の発展してゐた「陽の御子文化圏」と呼ばれてゐる地域であり、いはば日本の一分身であつた。(略)またフィリッピンより蘭印、ニューギニアにかけては、日本書記の記せる「海原の国」として、スメラミコトのしろしめされてゐた処である。(略)
斯の如く、昭和十一年より十五年の日独伊三国同盟を経て、今次の米英打倒の宣戦布告に至る五ヶ年間の戦ひを通して、愈々我が国の「スメラ御国」を建設すべき三大動脉*2再統一の昭和維新即ち世界維新の戦ひの運命と方向が明らかにされてきたのであつた。(略)
即ち、南米のペルウより中米のメキシコ、北米のカリフォルニアの太平洋沿岸諸洲は、我が国の「陽の御子」文化圏の復活として、新なる国生みをなさねばならぬ。アラスカ、カナダの北部アメリカは、我が国の「根の国」の一翼として、嘗てのアイヌ人やエスキモ人やアメリカ・インディアンの古を復興するスメラミクニ北太平洋洲」として、新なる誕生をもつべきものである。
然らば、アメリカ合衆国の運命を如何に処理すべきであるか。此の侵略的・殺戮的アングロ・サクソン民族は、そのもともとの根源的な位置に復帰せしむるために、北極のグリーンランドの故郷に追ひやるべきである。


小島に「日の御子」のことを教えたのも、堀であったのであろうか。小島と堀については、一昨年4月27日参照。


                                                                                                              • -


ダ・ヴィンチ』2月号に山崎ナオコーラ谷崎潤一郎の架空対談あり。なんともはや。

*1:「新しき世界史の創造」

*2:根の国」、「常世の国」、「海原の国」の三つらしい。