11 戦時下の出版社アルスとスメラ学塾(承前)
末次信正は、海軍大将、昭和15.5〜19.2スメラ学塾頭。
於田秋光(陸軍中佐)は、スメラ学塾講師、昭和16年11月に第16軍参謀(作戦主任)。
刊行されたかどうか不明であるが、広告によればその執筆予定者はものすごい事になっている。
クラブシュメールのメンバーとしては、坂倉準三、丸山熊雄、井上清一、川添紫郎(フランス文学者丸山の名前は5月号の日本古書通信に出てたね)。
国民精神文化研究所の研究者としては、志田延義、吉田三郎、伏見猛彌、中村光、山本饒。山本は、最終回(いつになるんだろう)で登場させる予定なので、覚えといてね。
スメラ学塾の講師で、海軍の軍人平出英夫の名前も見える。この他、世界創造社の戦争文化叢書の著者と共通する人物が何人かいるので、素性をさぐれば新たな人脈が判明するかもしれない。
結局、「どこまでほんたうか…」って。
もう、ひとつ、傍証をあげようか。「困ったときの『全國國家主義團體一覽』」、じゃないや、こういうときは、「特高月報」の「運動日誌」に有益な情報が載っている場合がある。
そこで、さっそく、紐解いてみると、
昭和17.1.12 「スメラ」学塾に在りては事務所を京橋区銀座五丁目三番地小野好方に移転せり。
昭和17.2.20 スメラ学塾に在りては神田一ツ橋共立講堂に於て奥村喜和男外二名を講師として第二回南方指導者講座を開催したるが、二、三○○名の受講者ありたり。
昭和17.2.27 「スメラ」学塾にありては神田区一ツ橋共立講堂に於て南方指導者講座を開催せり、講師は志田延義、平出海軍大佐にて聴講生約二○○名あり。
おっと、これではなかった。
「昭和16.3.下旬 スメラ学塾小島武[ママ]彦は神田区神保町三丁目、アルス内に戦争文学会を結成せり。」とあるのじゃ。
北原白秋の弟、北原鉄雄(アルス社長)とスメラグループとの関係については、まだまだ、調査が必要であろう。