『東京新繁盛記』の「書肆、洋書肆、雑書店」の項には、書店の書棚に並ぶ書籍を列挙して、「正面に維新斯徳剌(いぼすとる)氏の大字書を安置し、(中略)」とある。ここではいずれも明治7年前後に出版された書籍で、その書店の書棚を再現してみよう。すなわち、大字書はウェブスター(震災前の東京帝国大学図書館の閲覧室に備え付けられていた書籍−いわゆる焼け残り本−の可能性がある)、修身論はウェーランド(慶応義塾の払い下げ本。南葵文庫を経て東京大学総合図書館本となった)、万国史地理書はパーレー(東京大学総合図書館本)、窮理篇(物理学)はクワッケンボス(大学南校で用いられた教科書)。
(参考)東京大学総合図書館での同展は11月30日(水)まで→「東大黎明期の学生たち」