神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

山星書店本店で趣味誌『漫歩』(名古屋漫歩クラブ)

名古屋古書会館の古書展の帰りに山星書店本店に寄ったら、名古屋漫歩クラブ発行の趣味誌『漫歩』を発見。123号(昭和16年7月)、138号(21年4月)、139号(同年6月)、140号(同年8月)の4冊で1500円。123号は臨時記念号で24頁。表紙には「名古屋漫歩クラブ」、奥付には「名古屋漫歩倶楽部」とある*1。編輯兼発行人は、名古屋市東区の岡田賢一。内容は、

御礼と御願ひ 岡田賢一
始めて御覧になる方に
協賛と激励の声
事変と献納運動 柴田春郊
十年ひとむかし 伊藤喜久男
誌友愛携ふるの秋 藤原五左右門
漫歩漫言 島田町人
明朝趣味界の建設譜 小守秋月
本事業の意義 武蔵野暇人
王座を競ふの日 加藤星路
趣味報国 安藤実
★献納マーケツト規定
寄贈者御芳名と寄贈趣味品一覧表

本号は『漫歩』創刊10年を記念して寄贈品を売却して売上を海軍へ寄贈するための臨時記念号。献納マーケット関係で19頁を占める。「始めて御覧になる方に」によると、「本誌は昭和六年の秋、社会一般に亘る考現学的寸葉文化、所謂[趣味の蒐集]のすべての事項を研究調査する目的を以て生れ、創刊以来大衆趣味家の支持を得て極めて堅実なる発達を遂げて現在に至つて居ります」とある。「御礼と御願ひ」には、「五百の誌友」とあるから、地方の趣味誌としては10年で十分発展したようだ。なお、府立図書館が所蔵する1巻2号は名古屋漫歩クラブにより6年11月15日発行されているので、創刊は同年10月か。
138号の岡田「春日遅々霜月漫々」には、敗戦後復刊したことや「百三十七号をお送りしてから四ヶ月も休眠を続けて」とあるので、戦時中に休刊した後、20年の末に復刊したようだ。
発行人の岡田の経歴は調べていないが、前記「春日遅々霜月漫々」に「三楽印刷株式会社取締役といふ肩書丈はある」とある。

*1:他の号の発行所の記載は、138号は記載なし、139号は「漫歩倶楽部」、140号は「岡田倶楽部」。