古本を買いたい一心で雨空の中、お出かけ。すると、三密堂で『時の休徴』なる小冊子を発見。奥付はないが、聖書からの引用があって、教会が宣教用に配布した無料の冊子(14頁)のようだ。それだけなら、200円でも買わないのだが、表紙に縦長の楕円形の印が押され、「東京築地九番館/ゼーシー.ブランド」とあったので、「築地居留地だ!」と購入。居留地で発行されたので、奥付がないのか。居留地関係の本は処分してしまったので、ブランドについては米国人であること以外は不明。日外の『来日西洋人名事典 増補改訂普及版』に記載なし。ググると、関東学院の『学院史資料室ニューズ・レター』13号に明治28年度J・C・ブランドが東京中学院(築地居留地で創立)にニワトリを寄贈したとあるらしい。
本書は、時の休徴(しるし)を知るためには、第一に時の主な出来事を知り、第二にはそれらの成り行きを観察しなければならないが、第一を知るには全世界の歴史を研究することが必要、第二を知るには聖書の預言を学ぶ必要があるとしている。そして、具体的には社会問題、来るべき戦争、知識の進歩、基督教会、疾病・地震の五つを取り上げ、その都度聖書から引用している。「此書の脱稿は日清両国開戦の前に在り」とあるので、明治27年頃の発行か。
追記:『日本キリスト教歴史大事典』にBrand,James Cassieが立項されていた。1848年9月6日英国スコットランドのアバディーン生まれ、1921年2月23日没。1889年5月、日本に派遣されていたパプテスト最初の独身婦人宣教師サンズ,C.A.と結婚、1890年2月共に来日、芝浸礼教会を設立。