神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『松竹座ニュース』29号(松竹座、昭和13年7月?)の「血の敵」と「ゾロツク」

六甲の口笛文庫で拾う。映画には興味がないけど、めくって見たら、「性病映画と講演の会/主催・保健衛生キネマ協会」の見出しがあったので購入。「血の敵」という製作独逸プレゼンス・フヰルム社、監督ワルター・ルツトマンの映画の宣伝で、日本語版には高杉新一郎や永井柳太郎の講演が加えられたようだ。しかも、上映当日の講演として、高田義一郎「人類と性欲」、正木不如丘「性を覗く」、市川房枝「性病と拒婚同盟」、金子しげり「女性はかく要求する」、林茂「亡国的性病」、岩藤新三郎「病を暴く」が毎日交代で開催されたらしい。元の映画は、あらすじを読んでもよくわからないが、血液検査をして自分の血が純潔であることを確認して、少女と婚約、新しく正しい道を歩む学生の話と、夫の性病が赤ん坊に遺伝したことを知った妻がガス自殺、自分と子供は科学の力で救われる職工の話が交錯するらしい。しかし、市川の講演を聴かされた上、映画の中でも高杉や永井の講演を聴かねばならないとは退屈しそうだなあ。
また、裏表紙には、科学冒険映画「ゾロツク」の広告。ナカネ氏の好きそうな映画だなあ。詳しくは、→「ゾロック」参照。その他、「乙女の湖」、「陽気な連中」、「春の調べ」、「夕暮れの歌」、「白い蘭」、「玩具の国」の宣伝あり。
なお、裏表紙には、発行所(大阪・道頓堀 松竹座)、発行兼編輯人(宮崎瀧蔵)、印刷所(プラトン社)の記載はあるが、発行年月の記載はない。しかし、「日本の古本屋」によると昭和13年7月のようだ。