神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

堺利彦の愛猫

黒岩比佐子さんの『パンとペン 社会主義者堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)9頁の写真には、堺真柄、堺利彦、高畠素彦、久板卯之助、岡野辰之助、堺為子、高畠初江が写っている。これと同じ時に撮った思われる写真が、『売文集』に掲載されている。森銑三は、後者の写真について、「売文集(『売文集』)」(『明治東京逸聞史』の明治四十五年・大正元年の項)に、

『売文集』には、右の「略図」の外に、写真版一葉があつて、社を背景にして、枯川外男女併せて七人が並んで写つて居り、枯川は猫を膝にしてゐる。門の柱には「売文社」とした小看板と、今一つ「英独語教授」とした、それよりも大きくて目立つ看板が掛けてある。電話は引いてないらしい。社とはいふけれども、ただの貸家建ての家に過ぎない。

と書いている。黒岩さんの方の写真には、猫は写っていないので、『売文集』の方の写真が先に撮影され、次の写真を撮る前に猫は逃げてしまったか。と思ったのだが、よくよく黒岩さんの本の写真を見ると、堺為子夫人が猫を抱いているようだ。堺が飼った猫は、黒岩さんの本の158頁に出てくるナツメのほか、キジ、福、八、丸(初代、二代)がいるが、この猫はなんという名前だろうか。