神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

売文の名にかくれたるお利口さ

黒岩比佐子さんの『パンとペン』350頁には売文社が学生の卒論の代作を引き受けていたことが尾崎士郎の小説によって示されている。森銑三によると、博士論文まで引き受けていた噂もあったようだ。森の『古い雑誌から』の「五 林若樹氏の川柳天の声」は、林が『日本及日本人』に於計良の名で書いていた時事川柳を紹介する中で売文社に関係したものを紹介し、博士論文代作の噂に言及している。

 売文の名にかくれたるお利口さ((大正)四、九、一)
堺利彦がその頃売文社といふを経営してゐた。博士論文の代作の依頼を受けたなどといふ噂もあつた。『売文集』といふものが一冊出てゐる。

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文化功労者に選ばれた中野三敏先生の『図書』連載「和本教室」が11月号で最終回。タイトルは「和本リテラシーの回復を願って」。