黒岩比佐子さんの『パンとペン』258-9頁に、『売文集』(丙午出版社、明治45年5月)の「巻頭の飾」に寄稿した62人の一人として、暁烏敏があがっている。この暁鳥の日記を見ると、
明治36年9月25日 房へ『食道楽』『家庭の新風味』を贈る。
10月16日 『食道楽』をよむ。
45年2月8日 堺利彦の『売文集』の序を草す。
とある。房は明治35年12月に結婚した妻。村井弦斎の『食道楽』は6月に刊行された春の巻と思われる。堺利彦の『家庭の新風味』は明治34年8月から35年9月にかけて全六冊刊行。弦斎の『食道楽』と堺の『家庭の新風味』を新婚の妻に贈るとは、黒岩さんが評伝を書いた二人の書がそろっており、何とも面白い組み合わせだ。