神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

新年からお宝本


あけましておめでとうございます。


その人の正体は長い間謎であった。ある事からライターの南陀楼綾繁氏その人ではないかと思ったりしたのだが、どうも違うことが判明した。それではと思い、南陀楼氏周辺のセドロー氏、岡崎武志氏などを疑うも、これも違う。とうとう、奥さんの内澤旬子さん(!)まで、もしやと思ったりしたが、さすがにそれはなかった。もっとも、女性説もあったらしいから、必ずしも極端な的外れというわけではなかったようだ。


さて、「けものみち文庫2」として刊行された『山からお宝』で誰ぞの正体がわかるかも、との情報で同書を早速入手してみる。「執筆者紹介」により、なんと「せどり師」であることが判明した。ん、以前から「自称せどり師」(なんか容疑者の肩書きみたい)じゃなかったかしら・・・


『山からお宝』は、メインの「「本の山」回想録」(南陀楼氏)で、氏の「本の山」との格闘遍歴が楽しめるほか、17名の本キチの「積ん読」状況が笑え、そして泣ける。もっとも、添えられた写真がモノクロで(一部カラーあり)、書名も判然としないものが多いのが残念ではある。かの『TOKYO STYLE』みたいにその人の人生の縮図みたいな写真がほしい。その点で、退屈男氏の万年床を囲む本の山は秀逸であった。他人ごとながら、「これでは女の子を連れ込めないなあ」と心配したりする。好青年なのに惜しいものである。「ほっといて」と言われそうだが。


誰ぞの壁にかけられた「図書館週間」のポスターも良かった。もっとも、氏には「決死的覚悟」で顔写真も付けてほしかった(笑


畠中理恵子さんの「本の山」の上に住む猫の写真も絵になっている。栗原裕一郎氏の「本の山」の中に見える「東大ストーカー物×」のコピーは、某某先生の本かしら。笑えるこの本をピリリと岡島昭浩の「「積ん読」の語誌」が引き締めている。岡島氏、最近潜伏中かと思いきや、こんなブログが始まっている。→「岡島昭浩国語学備忘録」(http://d.hatena.ne.jp/OKAJIMA_Akihiro/


一見、知的生産の場とは程遠い環境にある人が多いように見えるが、栗原氏は『<盗作>の文学史』を生み、南弥楼氏は『WB』に「けものみち計画の文豪擬獣化宣言」を連載中(今号では「尾崎一雄=チン」)、その他ブログなどで日々研究成果を披露している人も多い。ゴミの山に見える本の山だが、カオスからお宝情報が発信されつつあるのだね。


追記:森洋介氏や、立石書店主、その弟で古本屋でもあるという人も候補であったが、『山からお宝』で誰ぞは、古本屋にはならなかったとしているので、後二者の可能性も完全に消えた(のだろう)。