神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『前橋が生んだ現代小説家−司修・豊田有恒・樋口有介が描いた前橋と作品−』(前橋文学館)中「化石化したユートピア、前橋」(書き下ろしエッセイ)から


   百冊以上の本を書いたが、前橋が登場する物語は多くない。
   気恥ずかしくて、書けないのである。シリーズで書いていたヤマトタケルでは「毛の国のヤマトタケル」など、予告したこともあるのだが、実現しない。たぶん、永遠に書けないだろう。僅か数編だけ、前橋を舞台にしたものがあるのだが、いずれも短編小説である。
   前橋は、ぼくの心のなかで、化石化したユートピアのまま、あり続けるにちがいない。