神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『松本清帳と木々高太郎』(山梨県立文学館)から

   
   私は33歳のころまで乏しい蔵書を何度か古本屋に売ったことはあるが、この「小説研究十六講」だけは手放せず、敗色濃厚な戦局で兵隊にとられたときも、家の者にかたく保存を云いつけて、無事に還ったときの再会をたのしみにしたものだ。今も手垢にまみれたその本が私の書架にある。


(参考)初出は「葉脈探求の人−木村毅氏と私−」(「オール読物」1979年12月)より