神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

超国家主義者としての久米正雄

東洋文庫から復刊される『共同研究転向』下巻の「転向思想史上の人びとー略伝ー」に、久米正雄が出てくる。

久米正雄(一八九一ー一九五二)
大正期の自由主義から中日戦争ー大東亜戦争時代の超国家主義軍国主義になしくずし的に転向。

久米は、五日会に参加や従軍したり、日本文学報国会の常務理事をしたので、上記のような側面があったのは事実だが、超国家主義とまで言うのは、抵抗がある。昔はそういうイメージがあったのかもしれないが、小谷野敦久米正雄伝』を読めば、従来の久米像は変わるだろう。
なお、同略伝では、小林秀雄について、

昭和初期の多くの非政治的文学青年が、文学における自由主義を保ちつつ政治においては中日戦争・大東亜戦争にさいしての日本国家の立場を無条件でうけいれるという傾向への先達となった。この三巻の中で論じつくされていない重要な例の一つ。

とある。