神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

皆川博子さんのあやす〜ぃ父親は、帝大出の医者だった。

皆川博子「動詞的人生 憑く」『図書』2001年2月号によると、

医者である父がいつから心霊研究に関心を持つようになったのか、いんちきな心霊現象をなぜ無批判に受け入れたのか、あらためて訊ねたことはないのだが、戦前、私が学齢前のころからすでに我が家には『心霊研究』という雑誌が山積みになっていた。神道系の新宗教団体と関わりも持ち、私は幼いころその団体が主催する子供向けの集まりに連れていかれたこともある。
(略)「神様事」に父が熱中し、家族を巻き込んだのは、敗戦からまもない時期である。父は霊媒と知り合い、家によんで交霊会をもつようになった。(略)何度目かのときだったか、父は、突然、子供たちにも列席するよう命じた。私が十六だったと思う。

このあやす〜ぃ父親だが、二高、帝大医学部卒だという。まあ、インテリ層こそオカルトに引っかかりやすいとも言えるのだが。
皆川の『巫女の棲む家』は自伝小説とまではいかないが、交霊会の記述など実体験に基づくものが多いようだ。同書には、先日の日経新聞の「風」で言及しておられた浅野和三郎編『小桜姫物語』について、

わたしが本に読みふけるのを喜ばない父が、積極的にすすめる一群の本があった。霊界通信、霊界物語、といったたぐいである。
小野八汐に売ったのは、霊界通信とサブタイトルのついた『小桜姫物語』という本で、これは読むと父にほめられるから、子供のころくり返し目をとおした。わたしの本といっていいくらいだ。

とあった。ところで、「皆川博子」は、本名?

(参考)今月8日

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二松學舍大学文学部国文学科編『奈良・京都 文学散歩』(新典社)所収の慈幸正法(予備校講師)「極私的京都古書店事情」は、古書店でない三月書房、恵文社一乗寺店まであげながら、善行堂は登場せず。残念。

奈良・京都 文学散歩

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