神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

スタール博士の不幸(その3)


日本を愛し、度々来日したスタール博士だが、その訪日回数の多さに疑惑の目を向けられたようである。


三田村鳶魚の日記(『三田村鳶魚日記』第25巻)大正6年12月3日の条には、


スタール帰国、米探の噂高くなりたる為めといふ。


とある。また、小島烏水「山の署名本から見た故人・今人」(「山と渓谷」63号、昭和15年5月、『小島烏水全集』第11巻所収)にも、


或人は私に声をひそめて言つた。「大学教師ぐらゐで、あんなに度々日本へ来て遊んでゐるのはヘンですね、旅費ばかりでも、大した金額になりませう、どうも私は、あの人は米○ぢやないかと思ひます」と。

スタール博士は、米国でも、日本でもあまり好意的な人物とは思われていなかったようである。その意味で、不幸な人ではあった。