神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

明治36年前後の催眠術ブーム(その3)


大川周明と交流のあった人物としては、藤澤親雄、櫻澤如一、小谷部全一郎、高田集蔵の他、安江仙弘がいるが、楢崎皐月とも関係があったというから驚きである*1。大川の日記(『大川周明日記』)を見ていると、彼の原点には催眠術との出会いがあったようだ(とは、おおげさな)。


明治37年2月11日 予定            実行
        (略)           (略)
        演説予習         精神霊動催眠術
      “Pushing to the Front”   演説予習及眠催[ママ]術。
                (略)
        余ハ本日遂二催眠術ナルモノヲ信ゼリ。同時ニ所謂奇蹟。[ママ]神力ナル物ヲモ之ヲ確信セリ。コレ実ニ催眠術ヲ以テ解釈スベキモノナリ。
               (略)
            2月中に閲読セル書籍 
               (略)
            桑原俊郎著 催眠術
             余ヲシテ催眠術ヲ信ゼシメタル書


  37年4月29日 大澤天仙ノ催眠術ナト云フツマラナキ書物モ見タリ。

なんと、『精神霊動』を読んでいたのだね。大澤の方の本は、小説みたい。
大川は、明治19年生まれ、37年3月荘内中学校卒。若き大川も催眠術ブームにはまった一人だった。


追記:日経新聞書肆アクセス店長の畠中理恵子さんが書いている。
画家の林哲夫さん、フリーライター岡崎武志さんら古本好きが集まって創刊した同人誌「sumus(スムース)」にミニコミの面白さを教えてもらったことも記されている。


   『編集会議』10月号には、荻窪の「海月書林INひなぎく実店舗」登場。